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法律事務所において、「文化」と「顧客」のどちらを優先すべきか?

仕事の未来

法務サポートサービス

Aug 18 2021

法律事務所は、今後も継続することが見込まれるリモートワーク環境のなか、強固な企業文化の醸成とアイデンティティの確立を目指しています。一方で、顧客からはサービスの質を下げることなく値下げすることが求められています。法律事務所のビジネスモデルにおいて、「顧客」と「文化」のどちらを優先すべきでしょうか?「仕事の未来」をテーマにお送りするブログシリーズの第二弾の今回は、このテーマを掘り下げます。

リーガルテックといった新たな法務サービスの台頭を受けて競争が激化するなか、コンサルBIG4各社は、「サービスの質は向上させて、費用は下げる」よう法律事務所に強く求めています。一方で、今後も継続することが見込まれるリモートワーク環境のなか、法律事務所としては、強固な文化の醸成とアイデンティティの確立を目指して一層の努力が必要となっています。法律事務所のビジネスモデルにおいて、「顧客」と「文化」のどちらを優先すべきでしょうか?

結論として、両方とも重要です。当社がこれまでに実施したリサーチや、当社のクライアントである法律事務所のマネジメントとのヒアリングの結果から、法律事務所のビジネスモデルにおいては顧客志向が最重要である一方で、顧客のニーズを満たす質の高いサービスを提供するには、チームワーク、連携、イノベーション、テクノロジーをなどを積極的に推進する企業文化が必須です。

顧客サービス:対面でのVIP対応から、個人レベルの関係が深まるリモート面談まで

コロナ前は、競合との差別化を測るため、事務所を訪れる顧客に対してVIPサービスを提供する傾向がありましたが、企業文化や威信を醸成するといった側面もありました。

2020年は、法律事務所とその顧客の関係に「人間味」が加わりました。これまでも、弁護士は顧客と密接な関係を構築していましたが、リモートで面談することが多くなった昨今は、家族、自宅、ペットなど、18~24か月前には考えにくかった側面が見えるなど、顧客との距離が個人的なレベルで縮まっています。こうしたトレンドをうけて、法律事務所が注力するポイントは、VIP対応のホスピタリティや接待から、顧客サービスの基本にシフトしました。具体的には、顧客が必要としている場面で確実にサポートすること、スピーディーなサービス、情報共有、ブレインストーミングをリアルタイムで実施するためのソリューション、ソートリーダーシップ、(法律事務所が最も得意とする)実用的で実行可能なアドバイスの提供などです。

スキルアップをサポートするオンラインサポートとスタッフ間の連携を推進する文化

顧客志向が強まるなか、最高のサービスを提供するために必要なツールやスキルの重要性に関する認識も高まっています。シニアパートナーによるジュニアアソシエートの教育やメンターシップが、顧客面談と同様にリモートで実施されるようになり、業務上だけでなく個人的なコミュニケーションが活発化する傾向があるなど、法律事務所における人材開発のあり方が流動的になっています。特定の地域、政治、規制、業界に関する法律について相談できるオンラインアウトリーチセンターなど、多くの法律事務所が、所属弁護士向けの社内リソースを強化しています。

こうした環境によって社内の活気や連携が向上し、積極的に新たな分野に取り組む気運が生まれています。ジュニアアソシエートにとっては、新たな法律分野に挑戦し、スキルを向上することが可能な自己成長の機会が創出されています。スタッフ間のコミュニケーションやエンゲージメントにも注目が集まっています。法律事務所においても、対顧客やスタッフ間の関係のあり方が変化しており、新たなテクノロジーや働き方の導入を含め、新たなアプローチを取り入れようという気運が高まっています。

今後は、コア業務への注力が加速

こうしたトレンドをうけ、法律事務所が最も得意とするコア業務、つまり弁護士業への取り組み方が見直されています。顧客サービスやスタッフのエンゲージメントの質を最適な水準で維持するため、コア業務への集中が進んでいます。これをうけて、ドキュメントの処理、郵便物の電子化、アシスタント業務、マーケティングや財務に関するサポート業務など、バックオフィス機能が見直されています。

「必須ではあるもののコア業務ではない作業」については、イノベーション、テクノロジーおよびセキュリティを取り入れつつ、ワークフロー/データ分析ツールを活用して稼働率や生産性を評価・管理することを得意とする専門業者に外注することにより、コストを抑えつつ効率性を向上することが出来ます。さらに、「強固な企業文化を醸成し、より競争力のある価格で質の高い法務サービスを提供する」というコア業務に注力しつつ、経営戦略を分析したり、取扱い分野の拡大を検討する時間を確保することも可能となります。

リーガルセクターにおける職場イノベーションやトレンドに関する詳細は、「仕事の未来」に関する最新レポートをご覧ください。

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